よくある犬の困った行動3つと、飼い主にできること
目次
犬によく見られる3つの行動の悩み――決めつけずに考える
犬を「好かれない犬」と決めつけても、その犬が何を伝えようとしているのか、次にどう対応すればよいのかは分かりません。飛びつく、うなる、合図に反応しないといった行動には、興奮、恐怖、戸惑い、気が散っている、不快感、あるいは意図せずその行動を褒めてしまったことなど、さまざまな原因が考えられます。役立つ対策は、安全を確保し、犬のボディランゲージを観察し、代わりに取れる行動を教えることから始まります。
このガイドでは、人に飛びつく、攻撃的に見える反応、合図に反応しにくいという3つのよくある行動の悩みを取り上げます。ここで紹介するのは一般的な情報であり、診断や、すべての犬が決まった期間で変わることを約束するものではありません。行動が突然変わった場合は、しつけの問題だと決めつける前に、獣医師に相談して痛みや病気がないか確認してもらいましょう。

1. 人に飛びつく
飛びつきは、失礼に振る舞おうとしている証拠ではなく、興奮してあいさつしていることがよくあります。人に前足をかけると、話しかけてもらえる、触ってもらえる、目を合わせてもらえる、遊んでもらえると学習している場合もあります。また、相手とのやり取りに不安を感じていたり、持て余すほどエネルギーが有り余っていたりして、飛びつく犬もいます。それでも、この行動には対策が必要です。体の大きな犬や勢いのある犬は、子どもや高齢者を怖がらせたり、引っかいたり、倒してしまったりすることがあります。
落ち着いてあいさつできるように教える
- 飛びつく機会を作らない ドアを開ける前に、ゲートや静かな部屋を使うか、リードを引っ張らずに持っておきましょう。来客には、犬に手を伸ばすのではなく、こちらの指示を待ってもらうよう伝えます。
- 代わりの行動を1つ選ぶ 4本の足を床につけて立つ、落ち着いて立つ、座るなどが適した行動です。まずは、その犬にとって最も簡単なものから始めましょう。
- 早めに褒める 犬がまだ床に足をつけているうちに、小さなおやつや褒め言葉などのごほうびを与えます。足を上げにくくするために、必要なら低い位置でおやつを与えましょう。そのうえで、適切なタイミングに落ち着いてあいさつできるよう、犬を解放します。
- 静かに注目をやめる 犬が飛びついたら、人は体の向きを変え、いったん止まり、仕切りの後ろへ移動します。ひざで押す、押し返す、つかむ、大声で叱る、手を振るといった対応は避けましょう。犬への注目や不安を増やしてしまうことがあります。
- 少しずつ難易度を上げる まずは静かな部屋で、慣れている人を相手に練習します。出入り口、人の動き、新しい来客、より大きな興奮要因は、一度に1つずつ加えていきましょう。
犬にあいさつする人は全員、同じ対応をする必要があります。飛びついたときにたまにしかごほうびがもらえない場合、犬は「次はもらえるかもしれない」と何度も試すため、行動が特にしつこくなることがあります。体をそらす、背中を丸める、耳を伏せるなど、犬が触られたくないと感じているサインにも注意しましょう。落ち着いたあいさつには、犬がその場を離れる選択肢も含まれます。人のそばでの行動を読み取る方法については、こちらのガイドをご覧ください 犬によく見られるボディランゲージのサイン。

2. 攻撃的に見える行動
「攻撃的」という言葉は、その場で取った行動を表すもので、犬の性格が永久にそうだという意味ではありません。うなる、ほえる、噛みつこうとする、突進する、体を硬直させる、歯を見せるといった行動は、犬が怖い、痛い、戸惑う、あるいは刺激が強すぎると感じるものから距離を取ろうとしている可能性があります。噛む前に小さな警告サインをいくつも出す犬もいれば、ほとんどサインを見せない犬もいます。犬がどこまで近づかせるかを試すのはやめましょう。
しつけよりも安全を優先する
- 距離を取る 人や子ども、ほかの動物を犬から遠ざけます。ドアやゲート、安全なリード、静かな部屋などを使い、犬が対峙せざるを得ない状況に追い込まれないようにしましょう。
- きっかけに慣れさせようとする練習をやめる 犬がうなっていたり、逃げようとしていたりするときに、繰り返しあいさつさせたり、食べ物を取り上げたり、隅に追い込んだり、触ることを無理強いしたりしないでください。
- 簡単な記録をつける その反応の直前に何が起きたか、近くに誰や何がいたか、犬のボディランゲージ、犬が落ち着くのに役立ったことを記録します。この情報は、専門家の判断に役立ちます。
- 罰を使う方法は避ける 怒鳴る、体罰を加える、ショックカラーやプロングカラー、チョークチェーンを使うと、恐怖や興奮が強まることがあります。また、警告サインを抑え込むだけで、状況が安全になるとは限りません。
深刻な攻撃行動が初めて見られたら、獣医師に相談してください。特に、最近になって変化した場合、犬が痛がっているように見える場合、人や動物がけがをした場合は早めの相談が必要です。獣医師は、病気などの身体的な要因を確認し、獣医行動診療科の専門医や、報酬を使った方法に詳しい適切な行動専門家に相談すべきか判断する手助けをしてくれます。深刻で予測が難しい、悪化している、または噛みつきに関係する行動には、個別の指導が必要です。オンライン記事だけではリスクを評価したり、行動改善の計画を立てたりすることはできません。こちらの記事では 仲のよい犬が突然攻撃的になる理由 について、疑問を整理するための別の手がかりをご紹介しています。
3. 合図に反応しない
「おすわり」「おいで」などの合図に反応しない犬が、必ずしも頑固だったり、飼い主を軽視していたりするわけではありません。その環境ではまだ合図を理解できていない、より魅力的なごほうびに気を取られている、疲れている、興奮しすぎている、または不安や不快感を覚えている可能性があります。静かなキッチンで覚えた合図が、交通量の多い道路のそばでも自動的に通用するとは限りません。
犬が理解しやすい反応を身につける
- 環境を確認する 犬が考えられる場所から始めましょう。音を小さくし、気が散るものから距離を取り、最初の1回は簡単にできるようにします。
- 合図は一度だけ出します。 犬が反応するまで少し待ちましょう。言葉を大きな声で繰り返すと、最初の合図には従わなくてもよい、という学習につながったり、犬にプレッシャーを与えたりすることがあります。
- 小さな成功もごほうびで伝えます。 身につけさせたい行動に応じて、こちらを一瞬見る、あなたのほうを向く、正しい方向へ一歩進むといった小さな変化を見逃さず、できたことを伝えましょう。食べ物や遊び、ほめ言葉、犬が実際に喜ぶ好きな活動への参加などを、ごほうびとして使えます。
- 必要に応じて、難易度を下げます。 犬が反応できないときは、いったん止めて、次はもっと簡単な練習にしましょう。同じ失敗を繰り返す形で試し続けないでください。
- 少しずつ、さまざまな場面で練習します。 まずは同じ行動を家の中の複数の部屋で練習し、次に静かな屋外へ進みます。周囲の動きや気になるにおいが多い場所での練習は、その後にしましょう。
長時間の練習で犬も飼い主も frustrate してしまうより、短いセッションのほうが繰り返しやすくなります。練習の合間には、犬がにおいを嗅いだり、休んだり、水を飲んだり、適切な遊びや刺激を楽しんだりする時間を設けましょう。普段は反応する犬が急に反応しなくなった、様子がぼんやりしている、痛がっている、食欲や元気に変化があるといった場合は、言うことを聞かないだけだと決めつけず、動物病院で診てもらってください。

3つの問題すべてに役立つトレーニングの基本
ごほうびを使うトレーニングでは、どの行動が望ましいのかを犬にわかりやすく伝えられます。だからといって、安全ではない行動を許すという意味ではありません。犬が代わりの行動を学んでいる間は、問題行動を繰り返さずに済む環境を整えます。そして、その代わりの行動を選ぶ価値があると犬に感じてもらうために、ごほうびを使います。食べ物は選択肢のひとつですが、犬が楽しめるなら、遊び、においを嗅ぐこと、好きなおもちゃで遊ぶこと、落ち着いたふれあいなども意味のあるごほうびになります。
- 合図と家庭内のルールは統一し、今日はどの行動なら許されるのかを犬が推測しなくて済むようにしましょう。
- できる限り、望ましくない行動が始まる前に、望ましい行動をほめてごほうびを与えましょう。
- マットの上で立つ、あなたのほうを向く、あなたと一緒にその場から離れるなど、簡単な代わりの行動を教えましょう。
- 子どもや来客が、自分で犬を扱わなくても済むように、部屋の環境を整えましょう。
- 状況、距離、犬の反応、ごほうび、次回に変えることを簡単に記録しておきましょう。
適切な刺激を与えることも、犬がにおいを嗅ぐ、噛む、食べ物を探す、遊ぶといった行動を無理なくできるようにし、トレーニングに取り組みやすくする助けになります。攻撃性に関する安全対策の代わりにはなりませんが、退屈や休息不足による負担を減らせる場合があります。噛む行動が関係しているなら、 犬が家の中の物を噛む理由 についてのガイドも、あわせてご覧ください。
専門家に相談するタイミング
犬が人を噛んだ、歯を当てた、何度も突進する、食べ物や場所を守ろうとする、きっかけとなるものがわかっていても落ち着けない、または行動がエスカレートしている場合は、早めに専門家へ相談してください。痛みや病気、聴力・視力の変化について動物病院で相談し、必要に応じて獣医行動診療科などの専門家を紹介してもらいましょう。攻撃性を伴わないトレーニングでは、ごほうびを使う方法をわかりやすく説明し、質問を歓迎し、犬がパニックになったり自制を失ったりする手前で進める方法を説明できるトレーナーを選びましょう。
誰かが噛まれた場合は、犬を安全に隔離し、噛まれた人は医療機関を受診してください。犬同士のけんかを、手で無理に引き離そうとしないでください。犬がけがをしている、倒れて動けない、混乱している、呼吸が苦しそうといった場合は、夜間・救急対応の動物病院に連絡しましょう。適切な対応は、個々の状況によって異なります。
よくある質問
こうした行動は、うちの犬が悪いというサインですか?
いいえ。犬と周囲の人に、よりわかりやすく安全な対応方法が必要だというサインです。ひとことで決めつけても原因はわかりませんし、恐怖や痛み、混乱、犬にとって難しすぎる環境を見落とすことにもつながります。
犬が飛びついてきたときは、無視すればよいですか?
静かに関心を向けるのをやめることで、飛びついてもごほうびが得られないと伝えられます。ただし、無視するだけでは、代わりに何をすればよいのかは教えられません。環境を整え、「4本の足を床につける」などの代わりの行動を教え、その行動ができたらごほうびを与えましょう。
犬がうなったら、どうすればよいですか?
近づくのをやめ、距離を取り、うなったことを叱らずにプレッシャーを取り除きましょう。何が起きたのかを記録し、動物病院または資格や経験のある行動の専門家に相談してください。特に、初めて見られた反応、反応が激しい場合、噛む行動につながっている場合は、早めに相談しましょう。
家では言うことを聞くのに、外では聞かないのはなぜですか?
犬は状況と結びつけて学習します。屋外では、におい、人、動物、音、動きなどがあるため、家の中よりも合図に応えるのが難しくなることがあります。まずは簡単な環境に戻り、小さな成功をごほうびで伝えながら、気が散るものを少しずつ増やしていきましょう。
トレーニングにはどのくらい時間がかかりますか?
すべての犬に当てはまる、確実な期間はありません。犬の性格や行動、環境、取り組みの一貫性、痛みや恐怖が関係しているかどうかによって、進み方は異なります。小さな改善を記録し、安全に関わる問題がある場合や改善が見られない場合は、専門家の指導を受けてください。
思いやりと一貫性のある行動サポート
飛びつき、攻撃的に見える反応、合図に応じないといった行動は、目標を明確にすると対処しやすくなります。その目標とは、すべての人や動物の安全を守り、犬が伝えようとしていることを理解し、その状況で無理なくできる行動を強化することです。無理のない段階から始め、力づくの対応や対立を避けましょう。危険性や不確かな点が一般的なトレーニングの範囲を超えている場合は、動物病院や行動の専門家に相談してください。
このガイドの情報源と対象範囲
AVSABは、ごほうびを使うトレーニングを支持し、嫌悪刺激を使う方法についての見解を示しています。これはここで紹介した方法を支えるものですが、特定のトレーナーを認定するものでも、トレーニングの完了時期を約束するものでも、痛みや深刻な攻撃性についての評価に代わるものでもありません。